2017年7月30日日曜日

台本のない講義

 私はもともと数学を指導していたので、経済学の問題も予習などはしないで、いきなり問題を解いてみて、悩んだり、間違えたり、戸惑ったりするナマの姿を学生に見せるようにしていました。一見おどおどしていて頼りないように思えますが、自然と優秀な学生しか集まってこなくなります。

 一方で、大声で「俺は偉いんだぞ!」と威張り散らしている講師もいます。ある一定の人には人気があるでしょう。しかし、彼らのは話を聞いても5分後には全部忘れてしまうような内容だったりします。つまり、すでに解答が用意され、手垢が付いた台本を読んでいるだけなのかもしれません。
 シナリオで起承転結するテレビを見てもほとんど記憶に何も残らないので、タヌキにばかされてしまった印象と同様です。

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 「経済学」を複数の校舎で同じ講義を行う場合、当然に1回目・1順目の講義は準備不足で言葉を選んでいるので上手いとは言えませんが、2順目、3順目と同じ講義を繰り返してくると、情報量も多くなり、ほとんど台本化してくるので、とても歯切れが良い素晴らしい講義になっていきます。

 例えば、同じ講義を高田馬場→水道橋→池袋→横浜の順にやっていくと、通学範囲なので後半の方がスムーズな講義展開をしているため、高田馬場よりも池袋と後ろに流れると思われがちですが、優秀な学生ほど1番最初の歯切れの悪い、準備不足の生々しい講義の高田馬場に集中するようになります。
 そこが最も記憶の残る講義をしているのです。

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